いずぬまコラム
「生ハム」と「ハム」の違い
◆「生ハム」と「ハム」の違い
お肉売り場で見かける「ハム」や「生ハム」。その違いについて、ご存じでしょうか?そもそもハムとは、豚肉や猪肉のモモ肉を、塊のまま塩漬けした加工食品のことを言います。
元々、英語の ham は「動物(主に豚)のもも肉」の意味でしたが、
「豚のもも肉を塩漬けにした加工食品」を指して使われるようになりました。
一般的なハムは、豚肉を塩漬けまたは塩せきしてから燻製して、
蒸す、ボイルするなどの工程で作られています。
一方の生ハムは、塊のまま塩漬けして作るのでハムの一種ではあるのですが、
その中でも、蒸したりボイルしたりといった加熱をせずに製造するもののことを言います。
ちなみに、日本のJAS規格において、生ハムというものの定義は無く、
塩漬けの後に加熱をせずに製造するハム全般を指してこう呼ばれています。
では、生ハムはどうして加熱しなくても食べられるのでしょうか?
それは、高い濃度の塩で漬込むことで、水分がゆっくり抜けて乾燥していき、
乾燥に弱い菌が繁殖できない環境が出来上がるためです。
そうして作られた生ハムは、生の豚肉を加熱して食べる時とは異なる、
旨味成分が凝縮して醸し出される豊かな風味が特徴。
日本でも、根本的な製造方法は違えど、しいたけや切り干し大根、するめなど、
生の状態から水分が抜けていくことで旨味成分が増し、
独特の強い味わいをダシとして楽しめる食品がたくさんありますよね。
また、塩漬けにしているため強い塩味が効いているものが多いので、
ダイスやフレーク状に小さく切り、調味料のような使い方をすることも。
もちろんそのまま食べてもおいしいですが、
料理のアクセントとしても、大活躍してくれる食材と言えます。
元々生ハムは、冷蔵庫などが無い昔、保存食として考案されたもの。
そのため、世界の空気が乾燥しがちな地域では、
お肉屋さんやハム屋さんなどの店先に吊るされるなど
常温で置かれている光景がよく見られます。
ただ、高温多湿の日本では、常温での長期保存には向いていません。
商品化されているものであれば、パッケージに保存温度が記載されているので、
保存する場合は必ず確認してください。
特にスライスになっているものやブロックで切り口が露出しているものは、
必ず冷蔵庫に入れて保存するようにしましょう。
開封したスライスパックは開封後は空気に触れないように、
ラップでしっかりと包んでから冷蔵庫で保存するのがおすすめです。
冷蔵庫に入れたからと安心せずに、なるべく早く食べてくださいね。
「生ハムは保存食だから常温で大丈夫だろう」と安易な判断はせず、
ベストな状態でおいしく楽しんでくださいね。